山の話木の話
数ヶ月前に読んだ新聞記事に、今国が目指している林業の方向性なるものが書かれてありましたので御紹介したいと思います。それによりますと林業先進国と言われるオーストラリアでは今、木質バイオマス(生物由来の資源)を使ってボイラーを炊き熱供給事業や発電をおこなっていて、国のてこ入れもありこのような施設が1000を超えるそうです。その結果今まで捨てていた木の廃材等が利用でき、森林所有者の所得向上にもつながっているとの事です。現在日本国内でもこのような木質バイオマスの発電所は大商100あるのだそですが、燃料として利用されているのは製材工場で出た残材や建築廃材がほとんどで、年間に大量に出る間伐材は収集運搬コストがかかることから、ほとんど利用されていないらしいのです。
又、タンチョウの繁殖地として知られる北海道東部の鶴居村。樹齢50年のカラマツが生い茂る林でチェーンソーで切り倒された木が雪の上を滑るようにドイツ製トラクターのウインチで引っ張り出され、その後は高性能ハーベスタで切りそろえられ、積み上げられていきます。山仕事というよりも機械作業のようです。鶴居村は国の「森林・林業再生プラン」実践事業のモデル地域に選定され、林業先進国であるドイツやオーストラリアの視察を基に欧州型の林業システムを導入したそうで、注目をあびています。
そして当地大阪でも森林組合が中心となって、バイオマス事業として間伐材等を使ってストーブ用燃料ペレットや発電所用の燃料チップを作ったりしています。そなためには大量の材木が必要で、材木を山から搬出しやすいように道路整備や林業機械の導入もなされています。国も地球環境の保全、温暖化防止の観点から潤沢とはいかないまでも補助金も出してくれています。しかしながら欧州と日本とでは林業の内容はかなり異なります。日本の林業も先進国の中では有数の資源量ですが、伐採 植林 飼育 保全を繰り返す非常に集約的な手間のかかる林業で、ヨーロッパアメリカの粗放的なやり方とはかなり違います。地形も外国の場合は山といえども平野が多く機械化し易い状態で、コストの面ではかなり安くあがり、同じ事をしても同じ結果が得られるとはいかないようです。とにかく今日本の林業はヨーロッパを見習いつつ材価低迷の続く中、活路を見出そうと努力しています。
私の住まいの近くに木材市場があり、大量の材木が集まってまいります。それが大別して二つの山に分けられます。ひとつは割と太い木で競り市に掛けられ、主に建築用材になります。もうひとつは無造作に積み上げられた山で、先ほど申しました発電所の燃料等に使われるものです。でもよく見ますと柱材になるものが沢山混じっています。一昔前であれば立派に家を支えた木が燃料として燃やされるわけで、なんともはや情けない事です。「なにも俺たちはカマドのまきを作るために、汗を流しあくせく働いたのではないわい!!」と叫びたくなります。